北国では冬期、食料の中の塩分濃度を高くして、家の中で食料を保存できるようにしてきました。そのため、塩分摂取量は高まりました。―日の塩分摂取量は、10g程度とされていますが、北国では、1日20gを超えるところもあります。

塩分の摂りすぎは高血圧の原因と一般的にはいわれますが、それはなぜなのでしょうか。この仕組みについても、塩分の摂りすぎによって血液中の沁濃度が上昇して、それをゆるやかにするために水分が血液に流れ込んで、結果的には血液量が増え、血圧が上昇してしまうという流れのストーリーが考えられています。

しかし、体の中で血液の量を一定にする機能が正しく働いている限り、多少塩分をとりすぎたとしても、そう簡単には血液量は増加しないはずです。

塩分の摂りすぎは、胃腸の知覚神経の機能と数を低下させてしまいます。その結果、発毛と育毛の効果が期待できるIGF‐1が減少してしまい、高血圧が引き起こされれてしまうと考えるのが妥当なところだと思います。このことは、塩分の摂りすぎが、育毛を阻害する可能性も示しているのです。

塩分の過剰摂取による高血圧の発症と知覚神経の機能低下が密接に関連している可能性を示す事実があります。人間の本態性高血圧症のモデルとして、自然高血圧発症ラット(SHR)という動物がいます。この動物は高血圧以外にも、糖尿病や認知機能低下が認められます。

さらにSHRには、正常血圧ラットにはない、ある特徴があります。それは、SHRは正常血圧ラットにくらべて、熱さに鈍感で炎症が引き起こされやすいということです。

知覚神経は熱さを知覚する神経であり、その刺激の結果として、IGF‐1をふやして、炎症を抑制するのです。しかし、SHRの知覚神経は鈍感、つまり、その働きが低下しているので、熱さという刺激に鈍感で、炎症が引き起こされやすいのです。

薄毛の方がカプサイシンとイソフラボンを摂取し、知覚神経が刺激されると、血液中のIGF‐1の増加と共に、高血圧の改善も認められました。いっぽう、SHRでも、カプサイシンを投与することによって知覚神経を刺激すると、血液中のIGF‐1の増加に伴って、血圧の低下が認めらるのです。

IGF‐1には血圧正常化作用や、糖代謝、認知機能を改善する作用があります。これらの事実は、SHRも高血圧症の人も、その原因として、知覚神経機能低下があって、その結果として、IGF‐1が減少してしまい、高血圧や糖代謝異常、さらに認知機能低下を発症する可能性を強く示しているのです。

実際に、SHRや人の高血圧症では、血液中のIGF‐1濃度は、それぞれ、正常血圧の動物やヒトにくらべて、低いことがわかっています。このように、知覚神経の機能が正常であることは、正常血圧を維持するうえで非常に重要であるといえます。

知覚神経の機能を低下させないためにも、減塩することは大きな意味を持ち、薄毛の改善ばかりか、将来の生活習慣病の予防にもなるということになります。

髪が薄くなってきたと思ったら、塩分の摂りすぎを控えることによって髪が薄くなるのを予防するだけではなく、健康にもなれるのです。