古くから、「よく噛んで食べるとボケにくい」といわれますが、よく噛むことにはそれ以上に多くの健康効果があるようです。

よく噛むことの八大効果があります。それは、肥満の防止、味覚の発達、言葉の発音がはっきりしてくる、脳の発達、歯の病気予防、がん予防、胃腸の働きの促進、全身の体力向上などです。

よく噛むことの健康効果は、発毛を促す物質であるIGF‐1の効果とよく似ています。よく噛むと唾液の分泌がふえ、それにより体内のIGF‐1もふえる可能性が考えられます。

そこで、唾液の成分中に、知覚神経を刺激して、IGF‐1をふやすものがあるかどうかを調べてみました。唾液中には、IGF‐1そのものが含まれています。そのIGF‐1には、知覚神経刺激作用があることが知られています。

さらに、上皮成長因子(EGF)、神経成長因子、およびシアル酸という物質も唾液に含まれています。神経成長因子は、知覚神経のCGRPをふやす作用があります。

シアル酸は、唾液中ではムコ多糖体という唾液中のねばり成分と結合していますが、胃の中に飲み込むことと、胃酸の作用によりフリーのシアル酸となります。研究の結果、EGFとフリーのシアル酸は、知覚神経を刺激して、IGF‐1をふやす作用があることがわかりました。

これらの事実から、よく噛んで唾液がふえ、その唾液を飲み込むことにより体内でIGF‐1がふえて健康効果が表れ、同時に育毛効果も期待できます。

唾液と育毛の関係について調べてみると、興味のある報告が見つかりました。唾液線の慢性の炎症のために、唾液の分泌が減少し、ドライマウスになる「シェーグレン症候群」という病気があります。この病気の患者さんには、薄毛が多いのです。さらに、マウスの唾液腺を取り除くと、毛並みが悪くなることも知られています。

研究でも、フリーのシアル酸を剃毛した動物に投与すると、剃毛後の育毛スピードが明らかにアップしました。これらの事実から、唾液は飲み込むことによって、令身でIGF‐1をふやし、育毛効果を発現させると考えられます。

唾液は、直接頭皮に塗布しても、育毛効果を発揮するようです。フリーのシアル酸を6人の男性型脱毛症の方に、6ヵ月間、頭部に塗布して育毛効果の有無を検討してみました。

その結果、6人中5人に育毛効果が認められました。明らかな増毛効果が見られます。